離婚

どれくらい別居をすれば離婚できるか

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妻または夫が離婚を拒否しているが、それでも離婚をしたいと考えている場合、離婚が認められるためには法律上の離婚事由に該当する必要があることは以前の記事で解説いたしました。

相手方に不貞行為や三年以上の生死不明等の明確な離婚事由があれば良いですが、離婚をしたいと考えるにあたってこれらの離婚事由がないということもよくあることでしょう。

このような場合において離婚をするためには、婚姻を継続し難い重大な事由があることが必要です。

この婚姻を継続しがたい重大な事由の認定に当たっては,別居期間が大きな要素になります。

それでは,どれくらいの別居期間があれば離婚をすることができるでしょうか。

以下では、婚姻を継続しがたい事由についての一般的な解説及び裁判例を解説した後で、この問いに対する解説をしていきたいと思います。

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5年以上の別居があれば離婚は認められやすい。

前提として、婚姻を継続し難い重大な事由とは、一般的には、①婚姻当事者双方に婚姻継続意思がないこと(破綻の主観的要素)②客観的に見て婚姻共同生活を修復させることが著しく困難であること(破綻の客観的要素)から構成されます。

通常,①があれば離婚訴訟にはならないので、②の要素が重要になります。

そして、②の要素を判断するにあたって、前述のように別居期間が大きな要素になります。

この別居期間ですが、概ね5年以上を経過しているときは、婚姻関係が破綻していると言いいやすくなり、他方で,3年を下回ってくると破綻の認定が微妙になっていきます。

それでは、別居期間が1年程度の場合はどうでしょうか。

この場合,通常婚姻関係の破綻は厳しい方向になっていきますが、別居が1年程度でも離婚を認めた裁判例があります。

以下では大阪高裁平成21年5月26日判決を題材に,同居期間に比して短期間の別居において離婚を認めた裁判例の解説をしていきます。

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別居期間約1年で離婚を認めた裁判例

裁判例の事案と原判決の結論

まず題材となった裁判例の事案としては以下のとおりでした。

  • 夫と妻は、夫が前妻と結婚していた最中に交際し、前妻が死亡したことから、その後平成2年に結婚した。
  • 妻は平成15年頃から、夫の朝食や昼食を用意しなくなった。
  • 妻は平成19年に、夫に無断で夫の思い出のアルバムを焼却したり、平成20年に先妻の位牌を先妻との間の長男の妻の実家に送りつけたため、夫が問い詰めたところ、妻から逆に生活費が次第に減っているなどについて責められた。
  • 夫はこれをきっかけに妻と別居し、離婚調停及び離婚訴訟を提起した。
  • 夫と妻の婚姻期間は18年、別居期間は約1年である。

原審は、上記の事案で妻の攻撃的な行動にやむを得ない部分もあり、夫婦関係の改善可能性があることから、離婚請求は認められないとして離婚請求を棄却しました。

離婚を認めた本判決とコメント

これに対し、本判決は要旨以下のような理由で夫の離婚請求を認めました。

  • 婚姻関係が長期にわたって継続していたことからすれば、婚姻関係が修復できる余地があるとの見方も成り立ち得ないわけではない。
  • しかし、妻の行動はあまりにも夫の人生に対する配慮を欠いたものであるし、その行動に至る理由を考慮しても原審のようにやむを得ない行動とは言えない。
  • 妻は自分の行動について、正当性を主張するがその理由も常識にかなわないものであって、婚姻生活の修復について真摯に語るものでもない。

このように,本判決は同居期間に比して別居期間が一年と圧倒的に短い事案ではありましたが、夫婦間の婚姻関係が破綻しているとして、夫側の離婚請求を認めました。

このように本判決が離婚請求を認めた背景としては、夫の別居期間が1年程度と短いとしても,妻側の行動に対し有責性を認めたためと考えられます。

別居期間が短ければ客観的に婚姻関係が破綻しているとは認められづらいですが、本判決の事案のように夫婦の一方に破綻に至る有責性があると認められ、その程度も大きい場合は別居期間が一年程度であっても離婚が認められる可能性があると言えるでしょう。

終わりに

以上、別居期間がどれくらいあれば離婚ができるかについて、裁判例を参照しつつ解説いたしました。

裁判例を見ればわかる通り,別居期間が短かったとしても離婚が不可能というわけではないですし、逆に,別居期間が三年程度であったとしても離婚ができるかが微妙な場合もあります。

離婚の可否というのは、別居期間を前提としつつも,夫婦間の有責行為等,種々の事情をもとに総合的に判断されるのでそこでは法的な知識が必要です。

したがって、離婚について悩まれている方は,まずは弁護士に相談されることをお勧めいたします。

離婚についてお悩みの方は無料相談を実施しておりますので、下記お電話番号にて、またはホームページもしくは本ブログのメール相談フォームからお気軽にお問い合わせください。

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